RECS InternationalPlanning & Management

インデクス頁へ

ホーム

RECSについて

会社概要

RECS通信

現地便り

事業実績

出版物

写真紀行

リンク

調査分室

君島崇の安曇野有明ML

あずみのありあけ
メーリング・リスト

2001年 4月 7日

バングラデシュ報告(1):虐げられる女性


 桜前線が北上を続け、日本は春の真っ只中。花見も良いけど、近年は花粉症に悩まされている方も多いと思います。私もその一人なもので・・・・。

 ご無沙汰いたしておりますが、皆様お変わりありませんか。私は80日間の出張を終え、一昨日(4月6日)バングラデシュから帰国しました。

 今回の仕事は、バングラデシュの中でも洪水常襲地帯に住む人々を対象に、洪水の被害を最小限に食い止めつつ、彼らの生計向上を図る計画を立案するもので、今回の出張は対象地域の現状を調査することが目的でした。

 バングラデシュについては、インドの東に位置していて、人口が多く、洪水が多い、貧しい国という情報は多くの人がお持ちだと思います。もう少し具体的に言えば、バングラデシュはインドの東に位置し、面積は14万平方キロ、人口は約1億3千万人で、人口密度が1平方キロあたり800人を超える、世界一の人口稠密国です。3つの国際河川、ブラマプトラ、メグナ、ガンジスの最下流部のデルタ地帯の上に国が形成されており、この3つの河川の1年の総流出量は、日本の年間総貯水量の3.6倍に達し、その90%近くが半年の間に標高の低い国土を通過するために、毎年洪水が発生するわけです。産業の中心は農業で、人口の80%以上が農村部に生活しているのですが、限られた農地面積に対して人口が多すぎて、一人あたりの農地面積は、家族が暮らしていく食料を生産するには圧倒的に小さいため、慢性的貧困になっています。最近になり首都のダッカを中心として安価な労働力を背景に、紡績、縫製等、繊維産業が盛んになってきていて、貧困を示すいくつかの指標は若干改善されてきていますが、まだまだ世界の水準でみれば、下から数えて何番目の国であることには変わりありません。

 今回出張して驚いたのは、貧困の中で最も影響が深刻なのが女性と女児であることを知ったことです。社会文化的な背景から女性は男性に比べ地位が低く見られており、さまざまな形で差別されており、その結果として女性が最貧となるのです。家庭内における食料分配における差別、婚姻における嫁の持参金の風習、土地相続における差別、夫の妻に対する暴力を許容する社会風習、結婚しない(できない)女性あるいは離婚したり夫に先立たれた女性の社会的立場の低さ等々により、全く悲惨な生活を余儀なくされている女性がいかに多いことか! その結果は、非常に高い妊婦死亡率、女児死亡率、バングラデシュが世界で数少ない、女性の平均寿命が男性のそれよりも短い国であること等にも表れているのです。

 このことは現地調査をしてもそれほどはっきりとわかるわけではありません。男性中心の社会であるということは、町で出会う人間が圧倒的に男性であることや農村に行って集まってくるのが男性ばかりであることから知ることができるぐらいです。実は、バングラデシュ人のソーシャルワーカーが著した一冊の本を読んで、私は上のような女性蔑視、差別が農村部を中心に存在することを知りました。この本は日本語にも訳されているので、皆さんにもご一読をお勧めします。連合出版から出ている「7人の女の物語」という本で著者はロキア・ラーマン・カビール氏、訳者は大岩豊氏、価格は1800円(税別)です。この本を読んでから、新聞で毎日のように報道されているレイプ事件(身体の不自由な女性のレイプ事件も報道されていた)、女性殺人事件(持参金が少ないことに怒った夫が妻を殴り殺すという事件を含む)の裏が読めたわけです。

 今、バングラデシュで最も必要なのは、様々な形で存在する女性に対する差別から彼女らを護ることではないか、と思っています。長期的には経済開発も洪水対策も必要でしょうが、最も緊急に解決しなければならない問題は、やはり弱者救済です。それも極貧で生死の間をさまよっている女性たち。

 今回私に与えられた仕事は、この課題からは少し離れたものです。しかし、対象としている地域は農村の中でも土地無しの貧困層が多く住むところです。今後立案する生計向上計画の中に少しでも女性たちに焦点をあてたプログラムを取り入れることにより、彼女らの社会的地位の向上やエンパワーメントが図られるようにしたいと考えています。そのためには男性の協力が不可欠なのですが・・・

 次回の出張は6月です。それまでは、穂高で農作業に集中したいと思います。5月の穂高は、残雪のある北アルプスが田植えの終わった水田に投影される景色が最高ですし、また新緑も鮮やかです。

 では、また。

穂高の百姓に戻った
君島 崇


頁トップへ戻る

[ Index ] [Home ] [ RECSについて ] [ 会社概要 ] [ RECS通信 ] [ 現地便り ] [ 事業実績 ] [ 出版物 ] [ 写真紀行 ] [リンク ] [ 調査分室 ]