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皆さんには大変ご無沙汰しております。日本では厳しい残暑が続いていますが、お変わりありませんか?
私は7月14日から1ヶ月弱の予定で南部アフリカの小国マラウィへ出張し、8月10日に帰国しました。すぐに帰国の報告を、と思っていたのですが、時差ボケとあまりの暑さに体内時計が狂いっぱなしであったこと、また農作業に追われて疲労がたまったこと等により、今日までさぼっていました。
マラウィは南半球にあるため、7月及び8月は気温が低く、乾季でもあるため、1年で最も過ごしやすい季節でした。このために日本に帰ってから苦労している訳です。
今回で3回目、しかも多分最終回となるマラウィの調査でした。この調査は日本政府がアフリカに対して農業開発に係る協力をしていく場合、どのような手法を用いれば開発を成功に導けるか、という課題を背負って、1998年度から始められたもので、小規模で、地元住民を開発計画づくりに参加してもらうことで、彼らが主体となって開発を進めていける体制を作ることを目指してきました。
最初に対象となる村を選定し、その村の現状を調査して問題点を明らかにし、それら問題を解決するための方策を開発計画としてとりまとめるとともに、計画の有効性、妥当性を確認するために、いくつかの計画を実証試験という名の下で実行に移してきたのです。調査の全ての段階で村民と会合を持ち、私たちの考えを彼らに伝え、彼らの反応を得ながらの作業は、実に楽しいものでした。
最初の調査では、私たちの説明に半信半疑だった彼らも、調査の度に対話を重ねるにつれて、私たちが何をしたいのかを理解してくれ、最後には私たちの期待以上の仕事をしてくれました。一つの例をご紹介しましょう。村の一つの大きな問題は、食料不足でした。土壌が肥沃でなく、貧乏で肥料も買えないため、作物の生産性が低く、それも雨季に一回しか作付けできないのです。また、灌漑水が無いため、5月から11月まで続く乾季に作物がほとんど作れませんでした。さらに、生活用水は地下水に依存しているのですが、その質が悪く雨季には雨水と共に泥水も混入するために、コレラや下痢などの疾病が多発することも問題となっていました。
この問題を解決するために、私たちは手押しポンプ付きの深井戸を建設し、それを生活用水と灌漑の両方に使ってもらうことを考えました。安全な水の供給は水由来の疾病の発生を低下させる一方、灌漑水の供給により乾季の作付けが可能となるのです。この考えは彼らから全面的な支持を得て、実行に移されました。
井戸掘りは現地の業者にお願いし、今年の1月から4月頃までかかって3本が完成しました。
今回の調査は、井戸が完成してから初めての調査でしたので、私たちも井戸がどのように利用されているか、果たして乾季の作付けはなされているのか等、不安と期待が半分ずつの気持ちでいました。しかし、現地で彼らの活動を見たとき、私たちはもう私たちに残された仕事はないのではないか、とさえ思いました。
彼らは見事に共同圃場を設営し、様々な野菜を作付けていたのです。そして、手押しポンプでバケツに水を汲み、それを頭の上に乗せて圃場まで運び、せっせと野菜に灌漑していたのです。既に収穫物は村の中の市場で売られ、栽培した野菜の種子代の3倍以上を稼いでいました。
この他、農民グループの設立、グループ活動の内容など、いくつかの成果がありました。
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いろいろなことを勉強した3年間の調査でした。彼らから学ぶことが多かったようにも思います。学ぶことが多いとそれだけアイディアも湧いてくるのも事実です。彼らとのコミュニケーションの多さが、私たちの調査を成功に導いたのだと思っています。何よりも、アフリカ(未だ事例は今回の一つだけですが)の人々が、ある条件を整えることで、素晴らしい団結力で、見事な団体行動を見せてくれたことは、大きな収穫でした。
まだ、課題は残っています。彼らには灌漑の経験がありませんでした。雨季の雨だけを頼りに作物を栽培してきたのです。水をやればやるほど作物は育つと思っているらしく、小さな苗にこれでもかこれでもか、という風に大量の水を与えます。その結果、作物は徒長気味となり、また湿度が高いので病気にかかりやすくなってしまいました。灌漑のためにポンプで水を汲み、圃場まで運ぶ労力は馬鹿になりません。省力化してなお病気の発生を防ぐことができるのですが、これを教えるには時間がかかります。
作物が病気になれば農薬が必要になりますが、これがまた問題です。今回、農薬散布器を一台供与して、その使い方、使用上の注意をデモンストレーションしてきたのですが、不安が残りました。農薬は村から20kmほど離れた町の店に売っているのですが、店の人間は農薬に関する知識があまりありませんでした。農薬のラベルには使用上の説明のないものがありました。説明のあるものもほとんどが英語で書かれています。村で英語が読める人間なんてほとんどいません。さらに、日本をはじめ先進国では20年程前にすでに使用禁止になった、人間の体にも害を与える可能性のある農薬が未だ売られていました。農薬は高価なので、農民がそんなに頻繁に購入することはできませんが、もし私たちが供与した農薬散布器を使用して農薬を撒いた農民が体調を崩す可能性は否定できません。
これらの課題は、私たちの調査にずっと協力してきてくれた、マラウィ国農業灌漑省の地域事務所の職員たちに伝え、フォローしてもらうようにしています。私たちが居なくなった後で、マラウィの人たちだけで開発が続けられることが、最も望ましいと考えています。
開発とは人間の生活を便利にする行為なのでしょうが、その方法は地球上全ての人に等しく適用できるものではありません。対象となる人々の暮らしや文化、環境等を調査し、どのような開発がその人々に最も良いものなのかを、見極め、彼らと探っていかなければならないと思います。
と、大変長くなりましたが、マラウィ報告でした。
帰国してからは、草取りと収穫の日々でした。草刈りには丸4日かかりました。その後地上部がほとんど消滅した畑でジャガイモを掘り、約200kgの収穫がありました。梅雨時に一部に疫病が発生し、心配されましたが、例年よりは豊作でした。そのほか、加工用トマト、ネギ、ナス、キュウリ、ピーマン、シシトウ、ニンジン、トウモロコシなどを収穫し、6月に収穫したタマネギやニンニクと合わせ、食卓の野菜は現在100%自給しています。また、最近になり、秋野菜としてダイコン、タァツァイ、チンゲンサイ、ホウレンソウ、ハクサイ、キャベツなどを植え付けました。
米も順調です。若干肥料不足で収量は今年も低いことが予想されますが、その分美味しい米が取れると思っています。
もうすぐ9月です。涼しくなる気配は見えませんが、それでも虫の声、トンボの数、朝夕の風に秋の気配を感じるこの頃です。皆さんにはご自愛の程、お祈りいたします。
では、この辺で。
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