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憧れのイスタンブール
♪〜いつか忘れていった〜こんなジタンの空箱〜♪
小学生の頃、「飛んでイスタンブール」が大ヒットした。当時この曲が流れると、「いつかイスタンブールへ行ってみたい!」と歌詞の内容をろくに理解できない子供のくせして思ったものだ。そしてあれから20年以上の月日を経た99年12月、ついにイスタンブール行きが実現した(大げさですね、今の時代、暇と金さえあればいつでも行けます)。
まさか仕事で行くなんて!
私は、自分を海外途上国の都市開発計画コンサルタントと名乗っている。したがって、現場は基本的に途上国で各種インフラ施設の整備の遅れた地方か、各種資料のそろった政府機関のある首都であることが多い。イスタンブールは人口約1000万人の大都会で先進国に負けないくらいのインフラ設備も整っているし、しかも首都でもない。だから、この業界にいる限り、イスタンブールを出張先として訪ねることはないと思っていた。しかし、これが実現してしまったのだ。他人のカネで(いい表現ではありません)長年行きたいと思っていた所へ行けるのだから、私は幸運者だった。

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観光地はひとつも訪問できなかった!
イスタンブールには15日間ほど滞在した。でも、観光地を訪ねてゆっくり見物する暇はなかった。ブルーモスク、トプカプ宮殿、スレイマニエモスク等々、滅び行く過去の栄光の遺産が、現代の美しい都市景観の形成に大きく貢献していることが分かる。どんなに美的感度の鈍い人でも、この事実に自然と気付くはずである。現地調査中、これらをゆっくり訪ねることはなかったが、市内を散々車で巡回したおかげで古い遺産建築が生み出す景観の魅力にすっかり虜になってしまった。まあ、今回は仕事だから仕方がない。次回は観光で再訪し、ゆっくり見物することにしよう。
観光では味わえない現地調査の魅力
もちろん、普通の観光客が味わえない体験もある。イスタンブールの市役所へ行き、各種社会・経済事情について市の役人と会見したり、市を構成する区レベルの人口、市域(正式な境界を知っている人はほとんどいなく、地元住民はおろか市の役人でさえほとんど知らない)、市の行政・組織、財政等を調査した。この調査は、観光地を訪ねるよりずっとおもしろかった。情報を得るにも、いい加減な専門家やジャーナリストの書いた本からではなく、内部のキーパーソンに直接インタビューし、自分で動いて確かめるから最新且つ確実なものだ(ただし、通訳が度々首をかしげて説明した情報に関してはちょっと不安を感じたが)。ひとつひとつの情報が新鮮で、それはまるで砂漠に水がしみ込んでいくようにアタマの中にインプットされていった。同行した通訳も感動していた。彼はイスタンブールで生まれ育っているが、自分の故郷の人口、市域、財政、その他社会・経済事情等の詳しい情報をこの機会で知って、想像以上におもしろかったのだろう(学校の社会科で教えないのだろうか!?)。

これでイスタンブールの情報通?
イスタンブールは有名なので日本にいても旅行ガイドや都市計画、建築の専門書等の文献からいろいろな情報を簡単に手に入れることができる。私も出発前にいろいろ調べた。しかし、現地に入って分かったのだが、そうした文献情報の多くは決して当てにならない。例えば、現地ではイスタンブールをイスタンブルと言う(通訳にも指摘された)。また、正確な行政区域やその面積、市域の概念なども各書バラバラで、説明も大方あいまい。これではどの文献のどの情報を信じていいのやら甚だ心もとない。
情報とは恐いものだ。間違った情報でも、それがいつの間にかに正しいものと見なされ、一人歩きしてしまうこともあるのだから。
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