日本の年末といえば、ボーナス目当ての華々しいバーゲンセール、テレビの特別番組や、広告などたくましい商魂が見え隠れしている時でもある。しかし今年の年末の話題は、なんと言っても2000年問題である。もっとも、コンピューターは私の滞在するトルコでも広く普及していて、今年はイスラム暦で言うところの、1420年なのだが、2000年問題から逃れられるという訳ではないようで、新聞は毎日2000年問題への対策が進められていることを報じている。
トルコは、イスラム圏のなかでもっとも近代化の進んだ国の一つと言われており、アンカラやイスタンブールなどの大都市では西欧社会と全く変わらない生活をしている人も多い。イスラムといえども、世俗化の進んだトルコでは、ワインやビールはパーティーの席には欠かせないのも事実である。
今年はたまたまこの年末が断食月(ラマザン)になっている。今年は12月10日から1月7日までが断食月にあたり、年末の東京を数日前に離れトルコ東部の伝統的な商業都市トラブゾンにやってくると、大都市からは見えないイスラム社会の断面がより良く見えてくる。
断食月は、イスラム暦の第9月にあたり、日の出から日没までの間一切口から物を摂ることが禁じられている。断食をする人は、日中水やたばこなど一切のものを口にしない。しかし、夕食は家族や友人たちとごちそうを囲むという生活のようだ。トラブゾンでは、昼間食事をする人の姿を見ることができない。ほとんど全てのレストランは扉を閉じている。唯一営業しているレストランはマクドナルドだけだが、日中その前を通りかかったけれど、お客は皆無だった。持ち帰って、事務所の中などでこっそりと食べているお客が多いのではないか。喫茶店も開いてはいるが、お客のテーブルにはなにも置かれていないので、どうやって売り上げを上げているのか不思議でもある。官庁には普段、お茶やコーヒーのサービスを専門にする人がいるが、この期間は休みを取るとのことである。
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トラブゾンはアンカラから1200キロ東に位置しており、日没、日の出がかなり早い。日没はほぼ4時頃で、夕方3時半頃ともなると、一転して街がにぎやかになる。商店街もこの期間中は4時にはほとんどが店じまいをする。人々は、一斉に家路を急ぎ、あるいはレストランに駆け込む。
レストランでは、サラダ、前菜などをテーブルに並べてお客の来るのを待ちかねている。寒いのに歩道にテーブルを並べているレストランもある。4時が近づくとともに家族連れや、友達同士連れだって三々五々お客が集まってくる。レストラン側では、ラマザンの特別メニューを用意していて、お客が席に着くと同時に、かねてから準備の整った料理を並べ始める。スープが前菜とともに並べられるが、まだ手を付けてはいけない。テーブルの上の香辛料や塩などで味を調えながら、日没を今か今かと待つのである。近くのモスクが、コーランの一節をスピーカーで流すとそれが食事開始の合図である。おもむろにスプーンを取り出して、一斉に食事に取りかかるのは壮観でもある。ほとんどの人が、30分以内で食事を終えていそいそと席を立つ。(そうしてすぐお祈りの時間に備える人も多いようだが、)昼間の空腹の反動なのか、濃厚な料理を、短い時間に大量に食べると体に悪いのでは、と心配するのはよけいなお世話なのかもしれない。
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