|
21世紀は水危機の時代となり得ると言われる。貧困、人口爆発、食糧不足、エネルギー危機、環境悪化等、人類が直面し21世紀にかけてより深刻になると懸念される問題は種々あるが、水不足は一般の人々には身近でありながら人類の存亡に関わるとは認識されにくい。一方、古来多くの地域間、民族間紛争が水争いに由来していたことも水問題に興味を持つ人々の間では広く知られていることである。言うまでもなく食糧問題は水資源と深く関わっている。水不足が人類の存亡に関わる時、エネルギー危機は「残念ながら」より深刻な問題ではあり得ない。環境悪化の重要な側面は、水質及び水循環に関わる諸問題である。水資源の開発・管理は21世紀に向けて人類が最も力を入れて取り組まねばならない問題であるといっても過言ではない。
アジアは水資源の比較的豊かな地域であると認識されている。一方、アジアは中国9億人、インド5億人をはじめとして大きな人口を抱え、また近年経済発展の最も目覚しい地域である。世界有数の河川を数本擁しているが、中国の揚子江、黄河を除くといずれも国際河川であり、その適切な利用のためには流域国間の協調は言うまでもなく、各国内の社会問題、環境問題への配慮、また国際社会の関与が不可欠である。
このような認識のもと、1995年バンコクのアジア工科大学に水資源開発・管理に関わる世界有数の研究者及び政策決定者が各々個人の資格で集まり、アジア水フォーラムが開催された。ガンジス・ブラマプトラ、サルウィーン、メコンのアジアの三大国際河川を対象とし、各々の開発・管理につき幅広く討議をし意見交換を行った。これはそれ自体画期的なことである。このフォーラムで発表され本書に収められている各論文は21世紀にかけての水資源開発・管理について、議論を深める基盤となるだけでなく、国際協力による地域開発についても様々な示唆を与える。更にフォーラムにおける討議を通じて形成された関係者のつながりは21世紀の開発協力のための重要なベースとなると考えられる。(以下略) |